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一級建築士【村田輝夫(有限会社都市総合デザインシステム)】が教える、建築施工業者の正しい選び方

「家を建てるならハウスメーカー」という考えが根強いようです。
テレビコマーシャルなどでは、夢にあふれた、素晴らしいデザインの家が映し出され、展示場でも営業マンの方から夢のある話ばかり聞きますが、本当にそうなのでしょうか?
住まいづくりに取り組んでいる方には、ハウスメーカーで建てるのか/工務店で建てるのかを決める前に、ハウスメーカーの実態や会社の仕組みを知っておくことをおすすめします。

一級建築士・建築・不動産コンサルタント村田輝夫が様々な住まいづくりの疑問にお応えします。

ご相談

ご相談者

今年から、家づくりの計画を本格的に進めています。
住宅展示場に見に行ったら、有名なハウスメーカーのモデルハウスがやっぱり素敵でした。
営業マンの人もとても親切で…。
「大手ハウスメーカーなら安心」と周りの人もみな言いますが、本当にハウスメーカーで建てるのがいいのでしょうか?

「大手ハウスメーカーは中小工務店に比べればつぶれる可能性は低い」という意味なら、確かに「ハウスメーカーは安心」なのですが、「ハウスメーカーだから欠陥住宅がない」とは限りません。
ましてや、「ハウスメーカーなら必ずいい家が建つ」というわけではありません。

村田輝夫
ご相談者

「ハウスメーカーで建てたのに、欠陥住宅なんてことがあるのですか?」

「欠陥住宅と認めらた家の中には、もちろん、小規模工務店が建てたものや、中規模のハウスビルダーが建てたものもあります。
しかし、誰もがテレビCMで知っている有名なハウスメーカーの家を買った人が、「床が傾いている」などと訴え、裁判になったケースもたくさんあります。




村田輝夫 欠陥住宅の例
ご相談者

「ハウスメーカーの家を実際に建てるのは、下請けの大工さんだと聞きました。
下請けの方に問題があったのではないのですか?」

「もちろん、施工に携わった業者が、手抜きあるいは失敗をしたわけですから、業者にも問題はあるでしょう。
しかし、ハウスメーカーには、施工業者を監督する義務があります。
それに、ハウスメーカーと下請けの工務店の関係自体に、そのような問題を生む背景があるのです。
家を建てるとき、施主であるお客様がハウスメーカーに代金を払いますが、その代金のうち、実際に建てる工務店の取り分は何割くらいだと思いますか?」




村田輝夫 欠陥住宅の例
ご相談者

「ハウスメーカーが、安定した品質の建材や、若い人の好みに合った間取り・デザインを研究しているから、そこそこの値段で素敵な家が買えるんですよね。
代金に、ハウスメーカーの利益が含まれているのは当たり前です。実際に建築に使われているのは、6割くらいではないでしょうか?」

「長年、欠陥住宅問題に取り組んでこられた弁護士の先生が関わったある事件では、工事発注者の代金のうち、4割ほどが実際に施工した一括孫請け会社(ハウスメーカーの下請けの下請け)に支払われていたということでした。」

村田輝夫 欠陥住宅の例
ご相談者

「4割!そんなに少ないのですか?」

「もちろん、4割というの極端ですが、この事例から考えると、工事請負金額1,000万円(10割)で工事請負契約されたものを400万円(4割)というコストで施工しなければならないということであり、そのコストでの施工で施主を満足させようと思えば、目に見えない部分は心ならずとも手抜きざる得なかった…このように考えられます。」




村田輝夫 ハウスメーカーの取り分
ご相談者

「なんだか不安になってきました。いい家を建てたいと思ってお金を貯めて買っても、家自体に使われる割合は低いのですね。なぜ、「ハウスメーカーで建てるのが当たり前」のように思われているのでしょうか?」

「それには、世界中で日本にしかない「ハウスメーカーというシステム」がどのようにできあがったかを知る必要があります。」

村田輝夫 ハウスメーカーの取り分

ハウスメーカーと言うシステム

ハウスメーカーと言うシステム

ハウスメーカーが誕生したのは、いわゆる高度成長期です。時の自民党政府がとった所得倍増計画による“持家政策”が住宅に対する庶民の需要を喚起し、多くの国民のマイホームへの夢が現実となった時期と重なります。

所得倍増計画の一つとして、国家財政を住宅の投融資に個人のローンという形で回し、住宅の注文に対する個人需要を喚起することが行われたのですが、その結果、今まで借家に住んでいた人もマイホームを持とうと努力することになったのです。

この政策を受け、いろいろな分野で活躍していた大企業が、巨大なマーケット“住宅分野”に進出しました。
建築技術からの出発ではない販売プロの会社、すなわち“ハウスメーカー”の出現です。

一方、高度成長期は、多くの若い人が、生まれ育った故郷から離れ、大都会に出てきた人口移動の時代でもあり、住宅の需要が高まっていたのは確かです。
彼らは、地縁血縁の信頼すべき大工や棟梁との知己もなく、頼るべき情報源は日常的に接するテレビメディアなどのマスコミ媒体のみ。

抜群の資金力・販売力・宣伝力を持つハウスメーカーは、全国各地の住宅展示場を駆使して、そのような人々から住宅の大量の注文を取っていきました。
注文した人々は、そのハウスメーカーが、始めから終りまで自社で一貫して建築するものだと思っていましたが、実際はそうではありませんでした。

ハウスメーカーの問題

ハウスメーカーが直接施工するのではなく、契約に関係のない、ハウスメーカーから一括下請けした下請け人、あるいは孫請けした人が実際の施工をする…。
つまり、契約者と、実際に施工を担う工事施工者とが分離したことが、悲劇の出発点でした。
工事施工者が契約者に対する責任感を失い、工事請負契約などの履行に対する誠実性も失われました。
欠陥住宅がその頃から生まれ、社会問題になったは、決して偶然ではありません。

まとめ:「ハウスメーカー」の成り立ちから生じた問題点とは

 1.出発が建設プロの会社ではなく、他の産業若しくは全く住宅に関係のなかった著名なメーカー企業が投資してつくった会社であること。

 2.自らは、マスコミなどのメディア媒体を利用して集客するという手法を用いていたため、住宅建設会社というより、住宅建築の注文をとることを専業とする、住宅販売商社とも云うべきものであったこと。

 3.販売のみに力が置かれて、技術職員は少なく、精々、少数の建築士や建築技術者を置くのみで、多くは各地の地場の工務店に一括下請けをさせる仕組みであったこと。

 4.元請のハウスメーカー、一括下請工務店、孫請工務店、さらにその下にいる各種職方・職人、というような重畳的な重層下請制度の下で、工事請負契約などの発注者である顧客に対し、誠実な履行が担保できる仕組みになっていなかったこと。

ご相談者

「家を建てるには、契約する会社がどんな会社か、よく調べなくてはいけませんね。 ハウスメーカーで建てると、なかなか職人さんに希望が伝わらない」という話も以前から聞いてはいました。こんな背景があったのですね。」

「実際工事しているのがどこの会社の人間なのか、設計しているのは誰なのか…、そんなことはお客様である施主様には、わかりにくいものです。
契約上のトラブルや欠陥をできるだけ少なくするには、事情の許す限り、工事請負契約の当事者であり、元請として直接工事を行う、信用にある工務店などに工 事を発注するのが最も間違いの無い方法です。

村田輝夫

「とはいっても、建築士さんや大工さんに知り合いはいないし、ネットやチラシで良さそうな業者さんを見つけても、その人が本当に信用出来る業者なのかわかりません。」

「多くの施主さんが家を建てるのは一生に一度。建築業者の質を見定めるのは難しいでしょう。建築の世界では、これまでどんな仕事を誰としてきたか、どんな評判を得ているかという『信用のネットワーク』が大切です。」
複数の業者にあたって、さりげなく他社の評判を聞いてみるのもいいでしょうし、私共のような、建築コンサルタントを介して業者を選ぶのも一つの選択肢でしょう。」



ハウスメーカーの存在は、決して悪ではありません。社会経済の根幹を支え、裾野の広い産業社会を支えているのも事実です。
しかし、企業は利益を追求するために経済活動を行っています。この利益を優先せざるを得ない企業体質から消費者の利益を守るためには、第三者の客観的な視点から、セカンドオピニオンとして、また、「信用のネットワーク」を有する建築専門家の関与が求められています

(有)都市デザインシステムがあなたの住まいづくり のお手伝いを致します! □土地探し □優良な不動産業者紹介 □設計相談 □優良な工務店紹介 □施工監理・第三者建物検査 など  お客様のアドバイザー、また、代理人として、協働してコンセプトづくりを行い、設計段階から、ハウスメーカーや工務店、不動産業者との打ち合わせに参加し、そのコンセプトが確実に、実際の設計や工事に反映されるよう、責任を以ってお手伝い致します。
お電話はこちら 一級建築事務所 047-403-7371  大切な家のためにお力になります。